家族のかたちは人それぞれに
同性カップルの権利を認める制度ができたり、ペットを家族として福利厚生制度を適用する企業が現れたりと、社会の中で「家族」の定義が変わってきています。また、学生や夫婦、子育て世帯、高齢者などさまざまな世帯が共同で暮らす「コレクティブハウス」も登場しはじめました。
役割の分担によって家族が維持される
こうした変化の背景にあるのは、家族の機能の分散化です。たとえば、コレクティブハウスの構成員は、それぞれの役目を果たしながらゆるやかな共同生活を送ることで、子育てや生活の不便を補い合うことができます。同性のパートナーと暮らしながら、血縁関係がない地域の子どもの面倒をみるといった人も増えていくでしょう。このように、自分が担える役割を自覚し、それを果たす人々によって家族という機能が維持されるようになっていきます。結果、曜日ごとに所属する家族が変わる、といったことが起こるかもしれません。
植物やロボットも家族の一員とみなされる
家族を構成する顔ぶれがますます拡張していく可能性もあります。ペットからさらに一歩進んで観葉植物を家族と捉え、その世話のために会社や学校を休むことを主張したり、ロボットやAIとの結婚やかれらへの遺産相続を望んだりと、人々の欲求は多様化していくことが考えられます。「家族」の捉え直しが進み、社会全体が非生物の家族を広く許容するようになれば、新しい家族との生活を豊かにするための制度や、商品・サービスがつくられていくでしょう。