孤独は健康リスクに
コロナ禍での外出自粛を通して、孤独が身体機能の低下や、鬱病の発症リスク上昇につながることが注目されました。都市生活の快適さの一つとして語られてきた「他人に干渉されない暮らし」のネガティブな面が注目されたのです。いまでは孤独が原因の健康被害は、いつでも、だれにでも起こりうることとして対策が進められつつあります。
家の中の情報を社会に開いて安心を得る
孤独対策が進むと、個人を社会で見守る時代になります。たとえば、病を抱える人の背景にある孤独やストレスに働きかけるため、趣味サークルへの参加など地域とのつながりを促す「社会的処方」の考えが浸透していくでしょう。同時に、孤独がもたらす健康被害を早期発見するため、生活者自らが開示した家電やスマートデバイスの利用状況といった家の中のデータを行政や企業が分析して見守り、安心を提供する動きが進みます。一方、情報を開示したくない人たちのために、住居内のデータを閲覧する権限をもち、生活者と医療をつなげる「リンクワーカー」の需要が急増。人手不足を補うためAIやロボットもその役割を担うでしょう。
当事者の発信で個人の悩みが社会のものに
また、多様性を重んじる社会的風潮の高まりとともに、人種、障がい、性的指向などに起因する悩みの認知度が上がります。当事者が声を上げることでプライベートな悩みの発信が一般的になるほか、当事者の感覚を疑似体験できるゲームなどが開発されるかもしれません。すると、悩みの解決方法は社会全体で考えようという認識が広がるでしょう。