所得差が子どもの体験格差を招く
個人間に格差を生み出す一因として問題視されているのが、家庭の所得に応じて学校以外での学習体験に差が生じる「子どもの体験格差」です。教員に対する働き方改革の一環で進められている部活動運営の地域への移行も、体験の多様化を促すものとして期待が寄せられる一方で、子どもが平等に体験できる機会が減るのではないかと危惧されています。
仮想空間での学びが普及する
子どもの体験機会を平等にする手段として注目されていくのが、バーチャルリアリティ(VR)技術を活用したデジタル上の仮想空間での学びです。現実の体験と異なり時間的・経済的な制約が少なく、個々人に合わせたレッスンの難易度調整や習得状況の見える化がしやすい仮想体験は人気を集めるでしょう。習い事にかかる負担が減ることで、仮想空間で多様なレッスンを掛け持ちし、学びを深める子どもが増えていくはずです。
現実の体験機会は地域で増やす
同時に、これまで学校が担ってきた現実の学習体験を提供する機能は地域の中で分散化していくでしょう。地域の商業施設や店舗は、幅広い世代が立ち寄って、学び合うことができるサードプレイスとして開かれていきます。そこでは、大人から子どもへと一方的に体験を提供するのではなく、子どもから働く世代や高齢者に向けて知っていることを教えるなど、双方向の学びも生まれるでしょう。子どもの存在が、地域全体に新たな学びの機会をもたらすようになるかもしれません。