モノは共有する時代に
自分ひとりでモノを所有することから、身近な人たちとモノを共有することへと、人々の欲求は変わりつつあります。その背景にあるのは、モノからコトへの消費行動の変化、資源不足による物価高騰、環境負荷への意識の高まりなどです。
物語の共有で地域内の結束が強まる
モノの共有が活発化すると、地域で物品を循環させるシェアリングサービスがますます普及し、継続的に利用するユーザーの数や循環されるモノの種類は増えていきます。譲り手は持ち物に付随する個人的なストーリーまで伝えることで、引き取り手と信頼関係を築こうとするようになるでしょう。それにより、趣味や価値観が合う人々との出会いや、個人間の絆の深まりといった副産物が生まれるはずです。こうして、それまで経済的負担を軽くするための手段だった共有は、共同体の結束力を強くするものとして認識されるようになっていきます。
共同購入によりモノは地域の共有財に
また、物流ドライバーの不足や送料の高騰は、それぞれの地域に住民どうしで共同購入する仕組みを根づかせます。そのためのプラットフォームも整備され、物品の購入は、地域コミュニティで計画的に行うことが基本になるかもしれません。やがては住民や店舗など、地域の構成員が保有するすべての物品がデータ化、公開されていくでしょう。人々は購入前に共有財のデータベースでストック品や使用状況を確認。地域で無駄なくモノを買い、使うことが習慣化していきます。