物流寸断の危機がより身近になる
気候変動の影響を受け、世界各地で自然災害が甚大なものとなっています。また、コロナ禍や世界各地での紛争は、物流の寸断が想像以上に身近なリスクであることを人々に強く認識させました。
防災サービスを受ける立場から支える立場に
こうした非常事態に備えるため、人々の防災意識は自ずと高まっていくはずです。日用品のストックや、家庭内での災害時の行動計画づくりにとどまらず、災害時にも平時にも役立つ日用品を生活に取り入れることも当たり前になるでしょう。また、地域では、これまで行政が提供してきた防災施策に地元の企業が参入し、非常時の備えを担うようになります。すると、人々の間には、身近な店舗で買い物することで地域の防災拠点を存続させようという意識が芽生えるはずです。こうした消費による地域の事業者支援が広がるとともに、防災拠点となった店舗の出店や撤退には住民の同意が必要になるかもしれません。
地域で食料自給の安定化をめざす
また、それまで一部の人々が趣味で取り組んでいた都市型農園は、物流が寸断された場合の食料確保などの観点から、レジリエンスに欠かせないものとして認識されるようになります。地域の食料自給率を高める仕組みとして、食べられる植物で景観をつくる「エディブル・ランドスケープ」もますます普及していくでしょう。人々は、地域全体で食料の供給を安定させることこそ、非常時への備えや安心感につながるものと考えるようになります。