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コミットメント
これからも、
暮らしに寄り添う製品・サービスを通じて、
「人と社会にやさしい明日」をかたちにしていく。
その歩みを、皆さまと共に進めてまいります。
社会環境の変化と企業の責任
“地球沸騰化”という言葉が現実味を帯びる今、気候変動の深刻化、労働人口の減少、そして人工知能(AI)をはじめとする技術革新の加速——私たちを取り巻く環境は、かつてないスピードで変化しています。こうした変化は、企業に対して環境・社会課題への対応を単なるCSR活動ではなく、事業戦略と一体化した経営課題として取り組むことを求めています。
私自身、ここ数年の猛暑日の増加やゲリラ豪雨の頻発といった気象の変化に加え、デジタルサービスの普及、防災意識の高まりなど、暮らしのスタイルそのものが大きく変わってきていることを日々実感しています。だからこそ、企業としての責任を果たすことが、未来を守ることにつながると強く信じています。
私たち日立グローバルライフソリューションズは、こうした時代の要請に応えるべく、「ひとりひとりに、笑顔のある暮らしを。人と社会にやさしい明日を。私たちは、未来をひらくイノベーションで世界中にハピネスをお届けします」というパーパスを軸に、サステナブル経営を推進しています。この言葉は、私自身が着任以来ずっと大切にしてきた想いでもあります。
サステナブル経営とは、環境や社会への対応にとどまらず、企業の存在意義そのものを実現する営みです。私たちは、サステナブルな社会の実現に貢献することと、企業として持続的な成長を果たすことを両立させるために、パーパスを起点とした経営を推進しています。
2024年度を振り返って
2024年度は、当社がサステナブル経営を社外に向けて明確に宣言した節目の年でした。5つのマテリアリティと13のサブ・マテリアリティを定め、当グループでKPI達成に向けた取り組みを加速させました。
環境分野では、2030年までに製造拠点の、2050年までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラルを達成する目標を掲げ、再生可能エネルギーの導入や製品の長寿命化、資源循環型モノづくりを推進しています。これらの取り組みは、気候変動をリスクとしてだけでなく、将来の成長機会として捉える姿勢の表れでもあります。
社会分野では、従業員を企業の原動力と位置づけ、「多様なタレントが活躍するためのインクルージョンの実現」を重視した人財戦略を展開、働きがいと働きやすさの両立をめざし、制度・風土の両面から改革を進めています。また、災害やリスクに柔軟に対応できるサプライチェーンの構築も進めています。
ガバナンス分野では、製品安全や情報セキュリティ、コンプライアンスの徹底を図り、信頼される企業としての基盤を強化しています。
2027年度に向けて 中長期ビジョンとの連動
今年度、日立グループの新たな経営計画「Inspire 2027」とサステナビリティ戦略「PLEDGES」が発表されました。「Inspire 2027」は、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現をめざし、日立の強みであるIT・OT・プロダクトを融合させた社会イノベーションを推進するものです。
また、「PLEDGES」は、Planet、Leadership、Empowerment、Diverse perspectives、Governance、Engagement、そしてSustainability for allという7つの柱から構成されており、日立グループ全体でサステナビリティを経営の中核に据えるための指針です。
当社も「One Hitachi」の考えのもと、2027年度に向けた中期経営計画を策定しています。その過程では、未来洞察の手法を活用して2035年の社会像を描くワークショップを実施しました。このプロセスを通じて形成されたビジョンは、当社のパーパスと深く結びついており、サステナビリティと企業成長の両立を実現する道筋を明確に示すものです。
このビジョンをもとに、私たちは2027年度に向けて各事業を展開してまいります。
ホームソリューション事業においては、ウェルビーイング事業への変革をめざし、共働き世帯の増加による家事の負担や育児・介護の問題などの社会課題解決に貢献する製品やサービスを開発します。また、暮らしに華やかさと潤いを与える機能やデザインにより、お客さまの生活の質を高め、心豊かな毎日を支えます。
空調ソリューション事業では“地球沸騰化”の社会課題に対して、AIやデジタル技術を掛け合わせた「Lumada 3.0」のグリーンクーリングソリューションを創出、環境負荷低減を通じて事業成長を実現させ、データセンターなど成長分野の立ち上げも加速していきます。また、当社は今年度Robert Bosch GmbHとの新たなパートナーシップを構築しました。合わせてヒートポンプに関する高い技術力を持つ清水事業所を取り込み、製品・販売・サービス一体での空調事業の強化・グローバル展開により、社会課題の解決へ貢献していきます。
風通しの良い組織へ
私たちが実現したいのは、目標の達成にとどまらず、社会にとって意味ある価値の創造です。そのためには、技術革新を活かした製品・サービスの提供だけでなく、安全・健康・コンプライアンスを土台とした組織づくりが不可欠です。年齢や職位を問わず一人ひとりが自分ごととして捉え、「基本と正道」「損得より善悪」を意識・行動していくことが何より重要です。
また当社では2021年にパーパスを策定して以降、その浸透を目的とした従業員による組織風土改革を推進するボトムアップ活動が展開されています。部門・職位・年代等の垣根を超えた縦横斜めのコミュニケーションにより、さまざまなつながりや気付き・学びを生み出しています。これらの活動と合わせ、経営層も一体となり、従業員一人ひとりが「心身ともに健康で安全に働ける職場の実現」のため、建設的な議論のできる、風通しの良い組織をつくっていきます。
私は、従業員一人ひとり、日立グループ内外の協創パートナー、そして社会の皆さまと共に、サステナブルな未来をつくっていくことを誓います。
未来は、誰かがつくるものではなく、私たち自身が築いていくものです。私たちが掲げるパーパスは、単なる理念ではなく、日々の事業活動を通じて社会に価値を届けるための指針です。
これからも、暮らしに寄り添う製品・サービスを通じて、「人と社会にやさしい明日」をかたちにしていく。その歩みを、皆さまと共に進めてまいります。
取締役社長
