環境への取り組み
ネイチャーポジティブへの貢献
考え方
私たちの社会・経済活動は植物や動物、空気、水、土、鉱物などの自然資本をベースに成り立っています。しかし近年、自然資本が劣化して生態系が破壊され、生物多様性が急速に失われるようになってきました。こうしたことから国際社会では自然資本の損失を止め、自然環境を回復軌道に乗せるネイチャーポジティブへの関心が高まっています。当グループは水を自然資本の一部と捉え、水の利用効率改善を進めていきます。また、生物多様性の減少要因の一つである化学物質を適正に管理します。
さらに、バリューチェーンを通じた自然資本へのインパクトと自然から事業活動が受けるインパクトの評価を検討していきます。
事業所で使用する水の管理
製造拠点における水の管理
当社では、製造拠点を対象に生産プロセスにおける水使用量の削減に取り組んでいます。製品の試験や設備の冷却、塗装などの生産工程で水を使用しており、水の利用効率を向上させるため、IoT化などによる水使用量の可視化や、巡回による配管の漏水調査など管理強化に努めています。
また排水の水質に関しては、法令や条例で定められた規制値より厳しい自主基準値を定めており、従業員による日々の検査や第三者機関による水質検査などにより厳格に管理しています。
活動結果
2024年度は、水使用量原単位*1を基準年度の2010年度比61.6%とした目標に対して、52.2%と目標を達成しました。また、水使用量は漏水対策等の施策により、基準年度の約62%に相当する164万㎥を削減しました。
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*1
水使用量を活動量 (水使用量と密接な関係を持つ値
例:生産高、生産数量など)で割った値
水使用量原単位改善率と水使用量実績
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水および生物多様性に関するリスクへの対応
⽔リスクへの対応
当社は、日立グループ独自の「水リスクチェックリスト」を活用し、水使用量の多い製造拠点の地域および事業運用上の水リスクを年1回特定・評価しています。2024年度に実施したリスク評価では早急に対処すべき大きなリスクに直面している拠点はありませんでした。
リスクの特定方法
地域の⽔リスク
さまざまな水リスク評価ツール(Aqueduct*1、Water Risk Filter*2、Flood Hazard Map of the World*3)を組み合わせ、住所情報よりリスクを特定。Low~Extremely-highの5段階で判定。
事業運用上の水リスク
事業所の取水量や排水量、事業所の取り組み内容などの情報からリスクを特定。Low~Extremely-highの5段階で判定。
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*1
Aqueduct:世界資源研究所(WRI)が開発した水リスク評価ツール
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*2
Water Risk Filter:世界自然保護基金(WWF)とドイツ投資開発会社(DEG)が開発した水リスク評価ツール
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*3
Flood Hazard Map of the World:欧州連合(EU)が公開している洪水リスクマップ
化学物質の管理
当社は、都市域大気汚染の原因の一つである揮発性有機化合物:(Volatile Organic Compounds: VOC)をはじめとする化学物質の管理と削減には、大気や水環境への汚染物質の排出を抑制するだけでなく、その使用量を適正に管理することが、自然資本へのインパクト最小化のために重要であると考えています。こうした考えのもと、当社は、「環境CSR対応モノづくり規程」を制定し、製品の設計・開発から、調達、製造、品質保証、出荷までの各段階で化学物質を管理しています。製品に含有される化学物質は、禁止物質群、管理物質群に分類して管理し、製品の輸出先の法規制への対応に活用しています。事業活動で使用する化学物質についても、禁止・削減・管理の3段階で管理しているほか、化学物質の取扱者や管理者に対して法規制やリスク評価などの教育を行うなど、リスクの低減に努めています。
製品の含有化学物質管理
材料・部品などの調達における含有化学物質の管理は、日立グループとして公開している「日立グループグリーン調達ガイドライン」に従って厳しく管理しています。管理対象となる物質を「日立グループ自主管理化学物質」として定義し、原則として規制の厳しいEUの基準を標準とした上で、輸出先や業種・用途に限らず管理対象物質を決定・管理しています。管理対象とする化学物質や管理レベルの区分は、欧州REACH規則*1をはじめとする各種規制物質の改定に合わせ、原則として法令で規制される半年前には自主管理化学物質に指定するなど随時見直しを図っています。
含有化学物質の調査にあたっては、製品に組み込まれる材料、部品はもとより、製造工程で使用する油脂類など、製品に関わるすべての購入部材について、サプライヤーの協力を得ながら、化学物質の含有量調査を実施しています。さらに、J-Moss*2に基づき製品の化学物質の含有情報をウェブサイトで開示しています*3。
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*1
Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicalsの略称。欧州連合規則の一つである「化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規則」
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*2
JIS C 0950「電気・電子機器の特定の化学物質の含有表示方法」の通称。JIS (Japanese Industrial Standards):日本産業規格
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*3
冷蔵庫、洗濯機・衣類乾燥機、電子レンジ
製品含有化学物質の管理の概要
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区分の具体例
禁止物質群(レベル1)
日本国内外で製品(包装材を含む)への使用が原則的に禁止されているものの、調達品に使用される可能性のある物質
管理物質群(レベル2)
使用実態の把握と管理を要求されている物質およびリサイクルや適正処理を考慮すべき物質
事業活動における化学物質の管理
製造拠点における化学物質の管理
製造拠点から排出される化学物質は、削減推進対象物質*1を対象に管理と排出量の削減に取り組んでいます。
「2024環境行動計画」の最終年度となる2024年度は、化学物質大気排出量原単位*2を指標として目標を設定し、大気排出量の低減活動を推進しています。また、日本のPRTR法*3に基づき、対象となる化学物質の大気や公共水域などへの排出量、廃棄物として敷地外や下水道に排出した移動量を把握し、その実績を製造拠点ごとに地方自治体に報告しています。
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*1
VOCなどハザードと大気排出量の観点から日立グループが独自に選定した50物質
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*2
化学物質大気排出量を活動量で割った値
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*3
特定化学物質の環境への排出量の把握等および管理の改善の促進に関する法律
活動結果
2024年度は、化学物質大気排出量原単位*1を基準年度の2010年度比76.1%とした目標に対して、53.7%と目標を達成しました。
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*1
化学物質大気排出量を活動量(化学物質大気排出量と密接な関係を持つ値
例:化学物質取扱量、生産高など)で割った値
化学物質大気排出量原単位改善率と化学物質大気排出量実績
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生態系の保全の取り組み
当グループは、原材料の調達や製品の製造、輸送時のエネルギー使用など、事業活動において、少なからず生態系に影響を与えています。
そこで当社は、事業活動による自然資本への負荷(負のインパクト)の低減を図るため、具体的な活動内容を示した「日立グループ生態系保全活動メニュー」に基づき、事業所ごとに活動しています。
「日立グループ生態系保全活動メニュー」概要
スクロール
| 区分 | 活動例 | 活動メニュー数 | |
|---|---|---|---|
| 事業所 | 生産 | 再利用ができない資源利用量の低減 | 4 |
| 輸送 | 生態系に配慮した梱包材の使用 | 7 | |
| 回収・廃棄・リサイクル | 製品含有有害物質の削減 | 2 | |
| 製品企画・開発・設計 | 研究開発時に、製品のライフサイクルにおける生物多様性への影響を推計し、 必要に応じて、軽減策を実施 |
3 | |
| 敷地管理 | 在来種の採用、ビオトープの設置 | 17 | |
| 水利用 | 雨水の利用 | 1 | |
| バリューチェーン | 出資・買収 | 出資・買収判断時に生物多様性への影響を確認し、影響を 最小限にするための施策を実施 |
1 |
| 新規進出・拡張 | 投資判断基準に生物多様性への配慮を盛り込む | 1 | |
| 事業開発 | 水、空気、土壌を浄化する製品・サービスの開発・事業展開 | 1 | |
| 調達 | 生物多様性に配慮していることが確認された紙など事務用品の優先調達 | 17 | |
| 輸送 | 海上輸送におけるバラスト水に関する対策を実施 | 2 | |
| 販売 | 生物多様性に配慮した製品の拡販活動の実施 | 9 | |
| 回収・廃棄・リサイクル | 部品のリユース・リサイクル | 7 | |
| バリューチェーン全体 | 再生可能エネルギーの導入促進 | 1 | |
| コミュニティ | コミュニケーション | 従業員による社外活動の推進 | 3 |
| 社会貢献 | 砂漠緑化、植林や森林育成活動の実施 | 12 | |
| 流域生態系に 配慮した水利用 |
取水 | 生物相の観測または情報収集 (取水量による生態系への影響) |
14 |
| 排水 | 生物相の管理指標の設定、観測(生息生物種・個体数) | 14 |