事業を通じた社会課題解決への貢献
空調ソリューション事業
事業の概要
世界で加速するエネルギー・環境問題に迅速に対応し、顧客価値向上に貢献します。また、空調ソリューションの技術を核にOne Hitachiでのソリューション提案や新事業創生を行っています。
解決したい社会課題
高効率空調機器や省エネルギー性能に優れたソリューションの開発を通じ、エネルギー消費と温室効果ガス排出の削減を図り、脱炭素社会の実現に貢献します。また、快適な室内環境の提供によるQoL*1の向上やDX*2ソリューションによる労働力不足への対応、クリーンルーム構築技術による産業分野・医療分野への貢献をめざします。
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QoL(Quality of Life)
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DX(Digital Transformation)
関連するSDGs
環境(E)分野
低GWP冷媒の採用と省エネルギー性能を両立した製品の提供
脱炭素社会の実現のため、高い省エネルギー性能とともに低GWP*1冷媒を採用した冷凍・空調機器などを提供します。
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GWP(Global Warming Potential):地球温暖化に与える影響を数値化したもの。数値が大きいほど温暖化への影響が強いことを示す
FLEXMULTI(フレックスマルチ)
室外ユニット
ビル用マルチエアコン「フレックスマルチ」冷暖切換型シリーズが、「一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター理事長賞」を受賞
2024年6月に出荷を開始した、冷媒R32を採用したビル用マルチエアコン「フレックスマルチ」冷暖切換型シリーズが、令和7年度デマンドサイドマネジメント表彰の機器部門において、「一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター理事長賞」を受賞しました。
本製品は、新型の圧縮機・熱交換器を採用し、業界トップクラス*1のAPF*2を実現した点や、ZEB*3推進による高COP*4を実現した点*5などが主に評価されました。
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高効率TGシリーズとてんかせ4方向との組み合わせにおいて。2025年6月2日時点
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APF(Annual Performance Factor):JIS B 8616に基づく通年エネルギー消費効率。数値が大きいほど省エネルギー性能が高いことを示す
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ZEB(Net Zero Energy Building)
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COP(Coefficient of Performance):冷暖房機器のエネルギー消費効率を示す指標
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高効率TZシリーズにおいて
TOPICS2025年度の取り組み
2025年 日本国際博覧会(大阪・関西万博)会場内のセブン-イレブンさま店舗において 当社コンデンシングユニットを採用
2025年に開催された大阪・関西万博の会場内セブン-イレブンさま2店舗*1では、地球温暖化係数(GWP)を“0”とするグリーン冷媒R474B*2を採用した当社のコンデンシングユニットが導入されました。
この技術は、オゾン破壊係数(ODP)が「0」かつ地球温暖化係数(GWP)が「0*3」の冷媒を採用し、冷凍・冷蔵分野における環境負荷の低減*4をはかります。また、設計圧力がHFC冷媒R404A、HFC冷媒R448Aと同等で、HFC機器からの既設配管の利用(リニューアル)が容易であるため、据付工事のコスト削減や時間短縮が可能です。さらにフロン排出抑制法の対象外である点も、持続的な店舗運営を後押しするものです。
当社は、こうした次世代冷媒技術を通じて脱炭素社会の実現に向けたソリューション展開を加速しています。
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「西ゲート」と「ウォータープラザ」の2店舗
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従来のHFC(ハイドロフルオロカーボン)冷媒と異なり、モントリオール議定書キガリ改正で規制されていない物質です
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令和5年経済産業省・環境省告示第3号による
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従来の冷媒R448Aでは地球温暖化係数(GWP)が「1390」であるのに対して、グリーン冷媒R474Bでは地球温暖化係数(GWP)が「0」(令和5年経済産業省・環境省告示第3号による)となっています
グリーン冷媒R474Bを使用した
コンデンシングユニット
フロン排出抑制法に対応するソリューション|exiida 遠隔監視・予兆診断
Lumadaソリューションの1つである空調IoTソリューション「exiida(エクシーダ)遠隔監視・予兆診断」の中で、フロン排出抑制法*1における簡易点検業務を代替可能なサービスを提供しています。
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正式名:フロン類の使用の合理化および管理の適正化に関する法律
「exiida(エクシーダ)」は「ex(拡張)」「internet(インターネット)」「individuality(個性)」「data(データ)」を組み合わせた造語で、インターネットにつなぎ新しい価値の創造にチャレンジするコンセプトを表しています。
社会課題の解決に貢献する豊富なソリューション群を展開
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社会(S)分野
省人化・DX化につながるソリューション提供|exiida
現在社会活動を行う上で必要不可欠なものとなっている空調・冷却設備の維持管理・メンテナンスの管理業務負担軽減に貢献するとともに、空気質の改善によるQoL向上にも寄与します。
exiida遠隔監視
ご使用の業務用冷凍・空調機器の情報を離れた場所で閲覧、故障発生時の早期把握が可能。
exiida遠隔監視・予兆診断
故障につながる変化*1を検知し不稼働時間の短縮・事業機会の損失抑制に貢献するとともに、フロン排出抑制法における簡易点検業務を代替可能*2。
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冷凍サイクルに起因する故障に限ります
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機器が一定時間稼働している際のデータが必要となります。そのため稼働時間が短く、フロン類の漏えい兆候を判定するための圧縮機稼働データが不足する場合は判定を行えません
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F-LSC(Fast-Local Sub-space Classifier):高速局所部分空間法
「exiida遠隔監視・予兆診断」のシステム概要
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exiida空気質管理サポート
室内に設置したセンサーにより計測した空気質の数値を表示。また、CO2濃度があらかじめ設定した値(しきい値)を超えると、換気装置を連動制御。換気を進めることで室内環境の改善に貢献。
空気質を「見える化」して環境管理を簡単に
PCやスマートフォンで空気質をグラフ表示し、リアルタイムで閲覧できます。
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換気の自動制御で快適な空気質の維持に貢献
センサーで測定したCO2濃度*4に従い、運転を自動的に切り替えます*5。
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CO2濃度で運転を切り替える「しきい値」は、設定が可能です
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運転/停止、または風量の切り替えのどちらかになります。制御方法はお使いの換気装置の仕様によります
事例紹介 関東エコリサイクル(2024年度納入事例)
当グループ会社の一つである株式会社関東エコリサイクルでは、家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)を回収し、適正に解体、資源に戻すという事業を行っています。リサイクル事業は地域社会のインフラという側面もあり、設備・機器の突然の重大な故障は地域社会へ多大な迷惑をかけるリスクがありました。そのようなリスクの低減や、現場で働く従業員の快適な環境維持、DXを意識したデータ管理・運用のため、2019年のリサイクル工場のリニューアル時に導入した機器を対象に「exiida遠隔監視・予兆診断」を導入し、安定稼働を支えています。
医療や産業へ貢献する空気質管理の提供|次世代モジュール型CPC(Cell Processing Center)
当社は空調の技術を応用して再生医療に求められる空気質管理を提供し、人々のQoL向上に貢献します。再生医療はこれまで治療が困難であった疾患に対する治療法として期待が大きく、実用化に向けて世界規模で研究が進められています。
CPCでは、従来ダクト方式で作られていた施設をモジュール化し、幅広い設置条件への対応を可能にします。
図版はピンチアウトで拡大できます
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「FFU」の製造元は株式会社日立産機システムです
TOPICS2025年度の取り組み
湘南アイパーク GMP/GCTPに準拠した賃貸型「細胞培養加工施設」を新設
当社は再生医療分野における次世代医療の実現を支えるため、アイパークインスティチュート株式会社さまとMinaris Advanced Therapiesさまとの協創により、湘南ヘルスイノベーションパーク(略称 : 湘南アイパーク)内に、賃貸型の「細胞培養加工施設(CPC)」を新設、2025年11月に稼働を開始しました。
本施設は、医薬品製造の品質管理基準である GMP*1および再生医療等製品の製造管理・品質管理基準 GCTP*2に準拠しており、モジュール型クリーンルームユニットを当社が導入・納入することで、初期導入の容易性と将来の増設・拡張性を兼ね備えた施設設計を実現しています。
これにより、当社は医療・ライフサイエンス領域において、空気質管理の技術・ソリューションをとおし、社会価値の創出と人々のQoL向上に貢献します。
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GMP(Good Manufacturing Practice):医薬品や医薬部外品の品質管理の基準
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GCTP(Good Gene, Cellular, and Tissue-based Products Manufacturing Practice):再生医療等製品の製造管理および品質管理の基準に関する省令
FOCUSフロン漏えい対策における遠隔監視技術の社会実装─東京都との連携を通じた環境貢献
冷凍空調機器からのフロン漏えいは、地球温暖化対策における重要な課題となっています。東京都では、東京都環境基本計画*1で掲げた「2030年までにフロン(HFCs)排出量65%削減(2014年度比)」という目標の達成に向け、業務用冷凍空調機器の使用時におけるフロン漏えいの削減に寄与する取り組みを先駆的に実施しており、その中でIoT技術を活用した「遠隔監視技術活用促進事業」を推進しています。当社はこの事業において、「exiida遠隔監視・予兆診断」を提案・実証し、技術提供企業として連携を深めてきました。
技術提案と実証
当社は、2022年度より東京都が実施した「先進技術を活用したフロン排出削減事業」に参画し、 「exiida遠隔監視・予兆診断」を提案。業務用空調機器より採取した稼働データからAIによる学習モデルを構築し、フロン漏えいの兆候を判定する診断判定を実施しました。
検証では、冷媒量が20〜30%不足した状態において、当社独自の異常検知の指標となる「異常測度」や膨張弁開度に明確な変化を確認し、漏えいの兆候を定量的に把握できることが実証されました。また、電力消費量との相関を分析し、漏えいによるエネルギー効率の低下を確認することができました。
これらの結果を2023年度末に東京都へ報告し、この成果は東京都環境局のホームページ内*2にて公表されています。
ビル用マルチエアコン 室外ユニットでの冷媒回収の状況
セミナーでの情報発信
2025年2月には、東京都主催の「管理者のためのIoT活用によるフロン排出削減対策セミナー」に実証事業の参画企業として参加。開催されたセミナー*3では、 「exiida遠隔監視・予兆診断」の技術概要や導入事例、実証結果を紹介し、ほかの参画企業とともに施設管理者などのセミナー参加者に向けて情報提供を行いました。
行政との連携が生んだ、持続可能なモデル
東京都では2022~2024年度において実施した実証事業で得られた結果をもとに、2025年度から東京都環境公社による「フロン漏えい防止のための遠隔監視技術活用促進事業*4」が開始されました。当社は本事業における助成対象技術として申請し、登録を受けています。 あわせて都内に事業所を有する企業などへPRを図り、本助成事業を活用した導入提案を進めています。また、制度の活用を希望する事業者に対して、技術説明や申請への相談対応を通じて支援を進めており、今後の普及促進に向けた活動を行っています。
当社は、こうした制度を活用しながら、技術の社会実装と普及拡大の両面で行政と連携し、環境課題に取り組んでいます。
今後の展望
これらの取り組みは、当社にとって単なる技術導入にとどまらず、「行政・自治体と企業が協働し、環境課題に対して実効性のある解決策を生み出す」実践的な事例となりました。また、東京都の積極的な環境施策は東京都全体のフロン対策の加速につながることが期待されています。
今後も当社は、環境技術の開発・提案を通じて、持続可能な都市づくりに貢献していきます。