うれしい洗い上がり、うれしい仕上がりを届け続ける日立の洗濯機。
進化は、お客さまの幸せのため。
日立のタテ型/ドラム式洗濯機の開発者が、その思いとともに、技術の進化を語ります(全2回)。
第2回はドラム式洗濯乾燥機「ビッグドラム」です。
「ビッグドラム」の最大の特長である乾燥機能「風アイロン」が開発されたのは2007年のこと。
そして、2023年には、ヒートポンプを新たに搭載し、時短と省エネを実現した「らくはや 風アイロン」として進化しました。
「らくはや 風アイロン」はどのように誕生したのでしょうか。
ヒートポンプ式で、仕上がりの良さはそのままに、時短と省エネを実現した「らくはや 風アイロン」
「風アイロン」とはどんな機能でしょうか?
大容積ドラムと高速風の力で、シワを伸ばしてしっかり乾燥する機能です。手前から衣類に直接風を当てることで、袖まできれいになります。また、衣類温度約65℃(*1)の低温乾燥で、ふんわりやさしく仕上げます。
お客さまのアイロンがけの手間を減らしたい、という思いから開発しました。
※風アイロンは、衣類のシワを大幅に低減する機能ですが、衣類の量や素材、一緒に乾燥するものの種類によって仕上がりが異なります。アイロンでプレスしたような効果まではありません。シワが完全になくなるわけではありません。生乾きや乾いた衣類の仕上げとして乾燥運転だけをした場合は、シワをとることはできません。乾燥できないものには使えません。
(*1) 当社調べ。洗濯〜乾燥コースにおいて。一般社団法人 日本電機工業会で定めた試験布に温度センサーを取り付けて計測。乾燥時の温度は衣類の素材により異なります。また、乾き具合によっては、衣類の温度が高くなる場合があります。
なぜ長い間ヒートポンプ式を搭載することができなかったのでしょうか?
確かに日立の強みである「風アイロン」を搭載したヒートポンプ式のドラム式洗濯乾燥機を出せない期間がずっと続いていました。その理由は、日立では冷蔵庫やエコキュートなどでヒートポンプの技術を持っているものの、「風アイロン」との両立が難しかったことにあります。高速風を必要とする「風アイロン」に対して、ヒートポンプ式は大風量が必要な乾燥方式なので、両立させるためには高速かつ大風量な風を作りだす必要があります。一方で、高速かつ大風量の風はエネルギーが大きく、消費電力も大きくなってしまうので、ヒートポンプの”省エネ”というメリットを打ち消すことになってしまうんです。
乾燥フィルターレスの「らくメンテ」の開発がターニングポイントに?
はい。「らくメンテ」を開発したことにより、お客さまがお手入れしていた乾燥フィルタ―の役割を洗濯機内部に収納できるようになりました。これにより、洗濯機の風路の中で最もロスの大きかった部分が解消され、ヒートポンプ式で高速かつ大風量を実現しました。仕上がりの良さはそのままに、省エネ(*2)になった新しい「らくはや 風アイロン」の誕生です。
(*2)ヒートポンプ非搭載2022年モデルBD-STX120H(洗濯~乾燥6kg時) 約1,570whとヒートポンプ搭載2023年モデルBD-STX130J(洗濯~乾燥7kg時) 約1,150whとの比較。データは一般社団法人日本電機工業会・自主基準「乾燥性能評価方法」によるものです。
「らくはや 風アイロン」は省エネだけじゃない。そのほかにもメリットが?
従来の水道水を使って除湿する水冷除湿方式では、ヒーターによって温めた空気を湿った衣類に吹き付けて水分を除去するのですが、高温なので、ある意味、非常に効率の良い乾燥方式でした。しかし、除湿は水道水の温度に影響を受けやすいため、除湿力に課題があったんです。
それに対して、ヒートポンプ式の乾燥は、除湿力が非常に高く、槽内は低温でカラッとした空気になっています。そのため、じめっとした梅雨や、ムシムシした暑い日でも、年中安定して乾燥できます。
さらに、シワを伸ばしてふんわりとした仕上がりはもちろんそのままに、従来よりも洗濯から乾燥までの時短(*3)も実現しました。お洗濯の時間が早く終われば、それだけ自分の時間、家族の時間を多く持てますからね。
※衣類の量や種類、使用環境により運転時間が異なります。
(*3) 2022年モデルBD-STX120H、洗濯〜乾燥6kg時、標準コース約98分と、2023年モデルBD-STX130J、洗濯~乾燥7kg時、標準コース約93分との比較。データは一般社団法人 日本電機工業会・自主基準「乾燥性能評価方法」によるものです。
飛田さんがこれからめざす洗濯機づくりは?
お客さまに寄り添った製品づくりですね。ドラム式を選ぶ人はやはり「乾燥」を重視しています。さらに「時短」「省手間」といったニーズはもちろん、エネルギー価格の高騰など「省エネ」への関心も高まっています。お客さまの期待に応えていくためには、「風アイロン」と「ヒートポンプ」の両立は欠かせませんので、乾燥機能の進化を実現できたことをまずうれしく思っています。
日々の生活や、その日の気分って、お洗濯の仕上がりでちょっと変わると思うんです。気持ちのいいお洗濯が日常になり、洗って乾燥したあとの仕上がりのことを心配しなくてよくなる。そんな幸せを届ける洗濯機の開発をこれからもしていきたいですね。