製造拠点におけるCO₂排出量削減の取り組み
当グループは、脱炭素社会の実現に向け、長期目標「日立環境イノベーション2050」にて、当社の製造拠点での2030年度カーボンニュートラル達成という目標を掲げています。
CO₂排出量の削減施策としては、「省エネルギーおよび再生可能エネルギー設備の導入」や、「再生可能エネルギー電力の購入」、「再生可能エネルギー証書の購入」、「中和クレジット(大気中からCO₂を吸収・除去により得られる環境価値)の購入」などがあります。
このうち、省エネルギー設備の導入や、追加性のある再生可能エネルギー設備の導入を重点的に推進し、2030年度におけるCO₂排出削減量の50%以上をこれらの施策で達成することを目標に取り組みを進めています。
活動結果
2022年度は、太陽光発電システムや省エネルギー設備(LED照明他)、EVフォークリフト導入などの施策を着実に進めたことにより、CO₂排出量を基準年度の2010年度比82.0%とした目標に対して、82.6%削減と目標を達成しました。
※製造拠点から排出されたCO₂量(Scope1およびScope2)
・Scope1:自社での燃料の使用や工業プロセスによる直接排出
・Scope2:自社が購入した電気・熱の使用に伴う間接排出
※電力のCO₂排出係数は、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく電力事業者別の調整後排出係数を使用しています。
製造拠点のCO₂総量削減率
製品・サービス使用時のCO₂排出量削減の取り組み
当グループは、脱炭素社会の実現に向け、製品やサービスの使用時のCO₂排出量削減を目標に設定し、製品・サービスの開発・普及を推進しています。
CO₂排出削減量の算定は、「日立グループ製品・サービスによるCO₂排出削減量算定指針」に基づき、省エネ性能向上など効率向上による製品のCO₂排出量削減や、新しいシステムソリューションの導入によるCO₂削減貢献量について算定しています。
製品の効率向上によるCO₂排出削減量の算定にあたっては、「効率向上」と「機能向上」の両立を図るため、冷蔵庫の内容積や洗濯機の洗濯容量などの製品の機能が同等な機種を比較した評価を行っています。
新しいシステムソリューションによるCO₂削減貢献量の算定にあたっては、IoT等の新たな技術により、従来のサービスに比べ、同等の価値をより少ないCO₂排出量で提供するシステムソリューションを普及させることによるCO₂削減量を算定しています。
活動結果
2022年度は、CO₂排出量原単位を基準年度の2010年度比31.8%削減を目標に活動しましたが、一部の製品において生産台数が目標未達となったため、削減率25.6%に留まりました。
製品・サービスのCO₂排出量削減率
*1 評価年度製品と同等の台数を設定したライフタイム期間使用したと仮定した場合のCO₂排出量とサービス・ソリューション採用前のCO₂排出量を合算。
*2 製品の主機能のうち、CO₂排出と相関がある機能。
トピックス① 再生可能エネルギーの導入
日立グループでは、2030年度までに製造拠点におけるカーボンニュートラル達成に向けて取り組んでいます。
当社でも、さまざまな取り組みを進めており、これまでにも一部の営業拠点で太陽光発電システムを導入していましたが、製造拠点への導入として、PPAモデル*1による太陽光発電システムを、冷蔵庫などを製造する栃木事業所に設置し、2022年7月1日から稼働を開始しました。
栃木事業所での発電設備能力は60kW、年間発電量は約115MWhとなる見込みで、年間のCO₂排出量は約50tの削減となる見込みです。さらに今後、栃木事業所での設置を拡充するほか、洗濯機やクリーナーを製造する多賀事業所でも太陽光発電システムの導入を進め、これら2つの事業所を合わせて、2030年の発電設備能力は約3,000kWをめざしています。
同年10月に、本社において利用している空調や照明などの全ての電力を、再生可能エネルギー由来に切り替えました。 これによるCO₂削減量は、年間約660t*2を見込んでいます。
今後は、再生可能エネルギー導入の拡大や省エネ施策を推進することにより、 CO₂排出削減量の50%以上をこれらの施策でまかなうことを目標に取り組んでいきます。また、蓄電システムの導入なども検討していきます。
*1 PPAモデルとは「Power Purchase Agreement (電力販売契約)モデル」のこと。
*2 再生可能エネルギーに切り替え前の2021年の年間電力量より算出。
栃木事業所に導入した太陽光発電システム
日立グローバルライフソリューションズ本社が入るビルの外観
詳細はこちら(ニュースリリース)
2022年6月30日
家電製造におけるカーボンニュートラルをめざして、太陽光発電設備を導入
トピックス② 省エネルギー設備の導入によるエネルギー使用効率の改善
生産プロセスにおけるCO₂排出量を削減するために、個々の製造拠点においてLED照明やインバーター空調などの省エネルギー設備の導入・更新を計画的に進めており、照明や設備のエネルギー使用効率の改善を図っています。
また、日立グループでは、事業所(ファクトリー・オフィス)からのCO₂削減を促進するため、2019年度から日立インターナルカーボンプライシング制度*1を導入しています。
当社の製造拠点である栃木事業所と多賀事業所では、インターナルカーボンプライシング制度を活用した省エネルギー設備導入によるCO₂排出量の削減にも積極的に取り組んでいます。
*1 社内で自主的に投資判断やリスクマネジメントを行うため、炭素発生量または削減炭素量に価格づけを行う仕組み。
インターナルカーボンプライシング制度を活用した主な導入機器【2022年度】
・空調機
・アモルファス変圧器
・4.8tクレーン
・クーリングタワー
・高温恒湿槽
・交流安定化電源
・二次変電所変圧器
・プレス用コンプレッサー
・成形用コンプレッサー
空調機
アモルファス変圧器
4.8tクレーン
高天井用LED器具
トピックス③ EVフォークリフト導入
多賀事業所に導入したEVフォークリフト
2023年3月に、Scope1削減の取り組みの一環として、製造拠点である多賀事業所にEVフォークリフトを導入しました。
今後は、栃木事業所で稼働しているフォークリフトのほとんどを、EVフォークリフトに順次切り替えていく方針です。このEVフォークリフトへの切り替えによるCO₂削減量は、年間約520t*1と見込んでいます。
*1 多賀事業所と栃木事業所における切替対象のフォークリフト台数より算出。(一部、鉛電池のタイプについては含まない)
詳細はこちら(ニュースリリース)
2023年3月1日
カーボンニュートラルに向けた取り組みとして、EVフォークリフトを導入
トピックス④ フロン排出抑制法に対応した「exiida遠隔監視・予兆診断」
当社が提供している空調IoTソリューション「exiida(エクシーダ)遠隔監視・予兆診断」は、フロン排出抑制法で定められている業務用冷凍・空調機器*1の簡易点検の代替とすることが可能です。
2022年8月に施行された同法律の改正*2によって、業務用冷凍・空調機器の常時監視システムが、これまでの目視による簡易点検の代替として位置付けられることになりました。これにより、作業負担の軽減に貢献します。
フロン排出抑制法は、業務用冷凍・空調機器の冷媒として使用されているフロンガスの漏えいを未然に防ぐため、3か月に1回以上の簡易点検を義務付けています。そのため、管理者(お客さまや設備管理担当者など)は、目視による機器の点検を行い、点検の記録および保存をする必要があります。違反した場合には、管理者に罰則が科せられます。
当社の「exiida遠隔監視・予兆診断」は、業務用冷凍・空調機器から収集した運転データ(冷媒圧力・温度・電流値など)を蓄積し、AIを活用して高精度な診断を行うことで、お客さまに新たな価値を提供する常時監視システムです。故障につながる変化を検出するなど、機器の安定稼働を支援します。
*1 フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律において定められた第一種特定製品をさします。
*2 フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(平成十三年法律第六十四号)第十六条第一項の一部改正。
「exiida遠隔監視・予兆診断」のシステム概要図
詳細はこちら(ニュースリリース)
2022年9月26日
空調IoTソリューション「exiida遠隔監視・予兆診断」が、フロン排出抑制法の改正により、業務用冷凍・空調機器の簡易点検を代替