日立グローバルライフソリューションズ株式会社は、 循環型モノづくりのさらなる推進に向けて、ガラスドア冷蔵庫のリサイクル処理において、ガラス板を研磨して付着物を除去する「ガラス研磨システム」を新たに開発した。
「ガラス研磨システム」を開発
ガラスドア冷蔵庫を製造・販売している日立グローバルライフソリューションズ では、リサイクル処理におけるガラスドアのガラス板を効率よく分離、研磨し、再資源化をめざすための研究開発を進めており、2021 年11 月には「冷蔵庫ガラスドア分離装置」を開発した。この装置では、ガラスドアをドア部分とガラス板に分離することで、ドア部分に使用されているプラスチックや金属などの再資源化を可能にした。一方で、ガラス板については、塗料などが付着していたため、ガラス素材として再資源化することが困難で、路盤材など別素材として利用していた。
今回新たに開発した「ガラス研磨システム」は、このガラス板を研磨して付着したウレタンや塗料などをきれいに除去する。これにより、同じガラス素材としての利用(水平リサイクル)が可能になり、分離したガラス板の用途が広がった。
関東エコリサイクルのリサイクルプラントで7月上旬から稼働開始の予定
このシステムは、日立グローバルライフソリューションズなど家電業界5 社で設立した株式会社関東エコリサイクル(*1)のリサイクルプラントにて、7 月上旬から稼働を開始する予定であり、本格稼働後もさらなる改良を進めていく。
(*1) 日立グローバルライフソリューションズが、家電リサイクル法への対応として、1999 年5 月に設立した子会社。日立グローバルライフソリューションズを含む家電業界5 社(シャープ株式会社、ソニー株式会社、株式会社富士通ゼネラル、三菱電機株式会社、日立グローバルライフソリューションズ株式会社、2023 年6 月時点)で連携し、全国規模でリサイクルプラントを運営し、効率的なリサイクルシステムを構築している。
パーパス経営で循環型モノづくりに取り組む
日立グローバルライフソリューションズは、企業としての存在価値を従業員一人ひとりが認識し、社会やお客さまの課題を自分事として捉えて、その解決に貢献する取り組みを進めるため、2021 年4 月にパーパスを策定した。このパーパスを指針に、今後も循環型モノづくりに取り組むことで、持続可能な社会の実現に貢献していく。
「ガラス研磨システム」の特長
今回新たに開発した「ガラス研磨システム」は、複数の回転ブラシでガラス板の表面を研磨して付着物を除去する「表面研磨方式」(図1)を採用した。ガラス板の投入角度やブラシの回転などを組み合わせて研磨することで、ウレタンや塗料などの付着物を除去する事が可能(図2)となった。また回収された冷蔵庫は、それぞれガラス板の幅が異なっており、幅が広いガラス板では付着物が残りやすい傾向にあったが、さまざまな幅のガラス板に対応できるように、回転ブラシを段階的に設置して付着物を除去する構造になっている。